舞根地区 自然環境MAP
Moune Nature Map
ホタテガイ
ホタテガイ
Mizuhopecten yessoensis (J. C. Jay, 1857)

写真1 ロープに吊るされて養殖される出荷直前の生後約24ヶ月のホタテガイ(北海道にて撮影).大きさは約120mm.ホタテガイの貝殻の表面にムラサキイガイなどの生物が多数付着して多毛類や魚類の隠れ家となり,海中に一つの生態系が形成されている。
写真2 生後約4ヶ月のホタテガイ(北海道にて撮影).大きさは約20mm.殻を開いて隙間に海水を通して植物プランクトンをエラでからめ取って食べる.
舞根のどこで見られるか
九九鳴浜沖など潮通しが良く水深が深い海域の水中でロープに吊るされて養殖されている.自然環境ではやや水深の深い砂泥や砂礫底の海表面に生息するが,舞根にはほとんど生息していないと思われる.
震災後の分布や生息の特徴
津波によって東北一帯のホタテガイ養殖施設は壊滅したため,震災直後に大量に死滅したと思われる.その後,他海域から種苗を移入するなどして養殖業の復興が進んだ。ホタテガイは冷水性の二枚貝で,生息適水温は0~20℃である。近年,夏季の水温が顕著に上昇しており,本種の生息にとって極めて厳しい環境になっている.ホタテガイは水中の植物プランクトンをエラで集めて餌として食べる。養殖環境では1年で60mm,2年で120mm程度に成長する。
コラム
大型の貝柱(筋肉)を収縮させることで貝殻を力強く開閉できる。この際に殻の隙間から海水を噴射させることで短時間,泳ぐことができ,ヒトデなどの捕食者から逃げる.旬は餌のプランクトンが大量出現する初春.主に貝柱が刺身などで食べられるが,この時期に発達する生殖巣も煮つけなどで美味である.
執筆者:夏池真史(北海道立総合研究機構 函館水産試験場・主査)