舞根地区 自然環境MAP
Moune Nature Map
マガキ
Magallana gigas (Thunberg, 1793),近年CrassostreaからMagallanaに属名が変更された。

写真1 養殖中のマガキ.ホタテガイの貝殻1枚にマガキ数十個体を付着させて養殖される.この塊を「かき玉」と呼ぶ.マガキの殻の表面に海藻やホヤ類などが多数付着してカキを覆う.魚類や多毛類などがそこをすみかにして一つの生態系が生まれる.
舞根のどこで見られるか
舞根湾内に浮かぶ養殖筏で垂下養殖されるとともに,海岸線沿いの岸壁や岩場,砂地のカキ殻に固着している天然集団が通年見られる.
震災後の分布や生息の特徴
津波によって東北一帯のマガキの養殖施設は壊滅した。一方で,餌となる植物プランクトンの出現量が震災前後で変化しなかったこと,堅牢な貝殻によって津波を耐えた個体が相当数いたことによって震災発生年の夏の生殖が順調に進んだ.これらが後押しになって,震災発生年内には養殖業が再開された.
産卵期は夏で,受精卵から孵化した後2~3週間を浮遊幼生として海水中を漂って過ごし,0.3 mm程度の大きさになると岩などの基質に着底する.この性質を利用して,ホタテガイの貝殻を多数連ねた器具にマガキを着底させることで稚ガキを採集する。その後,2年ほど海中で養殖された後に出荷される。
コラム
カキ類は世界で最も養殖されている二枚貝でありマガキ以外にもイワガキなど多数の食用種が存在し,味や旬も多様である.マガキは国内では鍋物の具材等として主に冬に市場に出回るが,餌のプランクトンが大量に出現した後の春先が最も味がのって旨いと感じる.
執筆者:夏池真史(北海道立総合研究機構 函館水産試験場・主査)