川と湿地をつなぐ護岸開削工事 - 森は海の恋人

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川と湿地をつなぐ護岸開削工事

 2011年東日本大震災の大津波で農地が被災して湿地化した。生物調査の結果、この塩性湿地は生物生産力が非常に高く、重要な場所であることが判明したが、一方で水の交換が悪いことが課題であった。西舞根川の護岸で仕切られていて、排水土管1本で通水していたからである。

 そこで、気仙沼市役所と協議して、護岸の一部を開削していただくこととした。協議を始めた当初は、洪水を防ぐための護岸を開削すると、民有地への氾濫を許容することになるので非常に困難であるとの回答であった。しかし、震災から5年が経過して、被災地事業のフェーズが「災害復旧」から「復興」へと進化し、その流れで環境に配慮した事業に理解が得られるようになった。

 事業提案をしてから8年後の2019年9月に、護岸の一部区間(幅10m、高さ2m)が重機によって取り除かれた。朝9時に工事を開始して12時には終わり、あっという間に工事は完了した。
 開削した当初は、土を盛って湿地の水位を調節していたが、洪水時に徐々に削られていったため、石積み工事を2回実施して、現在の姿になっている。

執筆者:横山勝英(東京都立大学 都市環境学部・教授)

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