アイナメ - 森は海の恋人

舞根もうね地区 自然環境MAP

Moune Nature Map

アイナメ

アイナメ 
Hexagrammos otakii Jordan and Starks, 1895

写真1 卵を保護する雄のアイナメ(2020年11月,舞根湾外九々鳴浜沖にて撮影).画面下側に見えるのが卵塊.

舞根のどこで見られるか

舞根湾の水深5mより深い岩礁域で,厳冬期(3月)以外には普通に見られる.特に,舞根湾入り口の水深15m付近では大型の個体を頻繁に見かける.

震災後の分布や生息の特徴

震災直後の1年間は体長20cmに満たない未成熟個体しか見なかったが,年を経て大型個体が増え,2014年の11月に卵を保護する個体を初めて確認した.以後は繁殖個体を毎年記録している.2018年度以降は1月にも繁殖個体が認められるようになってきた.

コラム

雄はなわばりを持ち,雌が訪れて付着卵を産卵し,雄は放精して受精卵を保護する.1尾の雄のなわばりを複数の雌が訪れるため,卵の発育段階も3〜5段階ほどを含むことが多い.観察者が近づくと,雄親は卵塊から離れるが,しばらくすると戻ってくる.卵を保護するのは,カニや小魚に対してのようである.本種の産卵は水温が18〜19度に下がると開始し,12〜13度になるまで続くという.海水温の上昇傾向により,産卵期は近年後ろにずれてきたのかもしれない.刺身や煮付,焼き物にして美味な魚である.

執筆者:益田玲爾(京都大学 フィールド科学教育センター・教授)

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