アレキサンドリム・カテネラ - 森は海の恋人

舞根もうね地区 自然環境MAP

Moune Nature Map

アレキサンドリム・カテネラ

Alexandrium catenella (Whedon & Kofoid) Balech 1985

写真 アレキサンドリウム・カテネラの2つの栄養細胞が連なった群体(左)と休眠胞子(右).1細胞の大きさは0.04mm程度.

 舞根のどこで見られるか

 水温が15℃以下の冬から初夏にかけて栄養細胞が海水中に出現する.それ以外の時期には海底の泥中で耐久細胞である休眠胞子が見つかる.栄養細胞,休眠胞子ともに舞根湾内よりも湾外で多い.植物プランクトンの1種であり,顕微鏡を用いて観察する.

震災後の分布や生息の特徴

 本種の休眠胞子(植物の種子のような耐久細胞)は100年以上も生残可能であることが知られている.過去に海底泥中に堆積した大量の休眠胞子が,巨大津波によって巻き上げられて海底表面に集積し,一斉に発芽することによって,本種は震災後に三陸沿岸各地で大量発生した.

 本種は人に対する麻痺性毒を産生する。マガキやホタテガイが大量出現した本種を餌として食べると,貝の体内に一時的に毒が蓄積される。毒が蓄積した貝を人が過剰に食べると貝毒と呼ばれる食中毒を発症する.検査で貝毒が基準値を上回ることが確認されると,毒が基準値以下になるまで貝の出荷は停止される.そのため,市場に毒をもった貝が出回ることはないが,生産者は貝を出荷できないため経済的な被害が生じる.

コラム

 マガキやホタテガイなどの貝は,自然発生する植物プランクトンを食べて成長する.餌代が不要かつ餌で海が汚れない点で,二枚貝養殖は経済面・環境面で優れた生産手法である.一方で,自然発生する餌の質を選べないため,貝毒が発生してしまう.

執筆者:夏池真史(北海道立総合研究機構 函館水産試験場・主査)

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